RECRUIT COLUMN
採用コラム
スタートアップ企業への時短勤務者採用のススメ ~時短勤務者採用のメリットと成功のポイント~
ママテラスには、フルタイム正社員と同等或いはそれ以上の能力や意欲を持ちながらも、時間的制約から時短勤務等の柔軟な働き方を希望する方が多数登録しています。
具体的には、
・子育てや介護、あるいは兼業の仕事と両立したいために、1週間の勤務日数や勤務時間をフルタイム正社員よりも2~3割程度短くしたい
・フルタイムでもフレックスや在宅勤務等を活用した柔軟な働き方をしたい
等の勤務希望のある方が、このような中でも組織のコアメンバーとして責任と裁量のある仕事を求め、スタートアップへの転職を希望しています。
本コラムでは、弊社ママテラスでの時短勤務者事例等をご紹介しながら、時短勤務者採用の企業にとってのメリットや、採用時・入社後の留意点についてお伝えしたいと思います。
ママテラス時短勤務採用の特徴:即戦力人材をコアメンバーとして活用
まず、ママテラスを通じてこれまでに採用された方々の特徴についてお伝え致します。
大きな特徴としては、以下3点です。
①9割程がコアメンバーとして月100~140時間程勤務し、その2/3は正社員(時短正社員含む)採用
※広報等の専門性が求められる業務や、「まだ週5日採用するほどの業務量がない」という企業では週3日以下の成約も一部あります。
②成約者の9割は35歳以上。10年以上のキャリア経験を持つ即戦力人材。
③採用ポジションは、人事や経理といった管理系職種が半数を占め、次いで営業アシスタント、マーケティングや事業開発といった企画職となっている
採用メリット1:優秀人材の母集団を拡げることで、リーズナブルに採用できる
このような時短勤務者を採用することは企業にも大きなメリットがあります。多くの企業で共通して考えられる3つのメリットをご紹介します。
メリットの第一は、優秀人材の母集団を拡げることで、リーズナブルに採用できることです。
時短勤務者採用はまだブルーオーシャン
能力や意欲はフルタイム人材と同等またはそれ以上あるにもかかわらず、「保育園や学童のお迎えに間に合うように、定時より30分だけ早く帰りたい」、「子供の用事がある日だけは在宅勤務がしたい」、「親の介護の都合で、出社時間をずらしたい」等、従来のフルタイム・定時出退社を必須とする企業では勤務を続けることが難しい方が多数いらっしゃいます。
他方、労働力人口が減少する中で優秀なフルタイム人材の採用は厳しくなっています。また、その競争率の高さからオファー金額が高騰する傾向が見られます。
時短勤務希望者も対象者として検討することで、能力や意欲の高い優秀層の選考母数を拡げることが出来、適切な条件での採用可能性が高まります。
フルタイム同等職務を、時間短縮分報酬が抑えられる
時短勤務人材を採用する場合、同職務のフルタイム正社員と同一の時間賃金を、労働時間に応じて設定します。労働時間が少ない分、報酬を抑えることができます。
《例》
フルタイム:10:00-19:00(実働8時間/日)+見込み残業時間20時間/月=180時間/月
時短:9:00-17:00(実働7時間/日)=140時間/月
上記の場合、時短勤務の月額給与はフルタイム給与の8割弱となります。「量」においては勤務時間に2割の差があっても、「質」においては同等の人材を、2割以上安く採用できるということです。
後述しますが時短勤務者は生産性や成果創出意識も高いため「量」の差を補える方も多く、アウトプットの差は2割以下と考えることができます。
採用メリット2:プロフェッショナルな企業風土の醸成
時短勤務者には短時間で勤務を切り上げなければならない事情があり、限られた時間の中での成果創出を自らに課しています。そのため、プロフェッショナルなワークスタイルが身についている人が多いのも特徴です。
・スピード重視し、無駄を省く:最短で成果に結びつけるために、本質を大事にしながらゴールやプロセスを設定し、確実に業務を推進する
・計画的な業務推進:突発的な対応が求められる事態にならないよう、事前に計画し、時間内に終えるよう高い集中力で推進する
・報連相の徹底:「自分しか分からない」という状態により業務が滞ることがないよう、業務やスケジュールを見える化する
このように限られた時間での成果創出に取組むメンバーから他のメンバーも刺激を受け、より高いプロフェッショナリズムが醸成され、パフォーマンスの高い組織に進化することが期待できます。
採用メリット3:組織全体の「働きやすさ」が向上、エンゲージメント強化に繋がる
時短や在宅勤務等の柔軟な働き方が必要なスタッフが機能するためには、情報共有の仕組みやツール導入が必要になります。こうした対応は一見負担にも思えますが、こうした仕組みやツールを整備することで組織全体の「働きやすさ」が向上します。
今回の新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下でも、多様な働き方をするメンバーを抱えて対応してきた組織では、出社制限への対応がスムーズにできていました。
一人ひとりの「働きやすさ」は、組織へのエンゲージメント(組織構成員の組織に対する愛着心や仕事への情熱、双方向の関係性や結びつきの度合い)向上のキーファクターの一つであり、組織へのエンゲージメント向上は、生産性や売上の向上、離職率の低下に繋がると言われています。
2017年のGallup社調査(世界82,000社対象)によると、エンゲージメントスコア上位25%企業は下位25%企業に比べて利益率が21%、生産性が17%高く、欠勤率は41%、離職率は35%低くなっています。
このことから、今や「働きやすさ」への取組みはスタッフのためのみならず、組織として必要なものだと言えます。
採用時のポイント1:最低限の勤務条件を明確にする
時短勤務者の採用にあたり留意すべき点について、お伝えしたいと思います。
まず、時短勤務者に求める最低限の勤務条件を明確にすることが必要です。
☑想定される業務量に対応するために最低限必要な勤務時間はどれくらいか?(例:週〇時間以上は必須)
☑他のメンバーとの打合せやクライアント対応に支障が出ない勤務時間はいつか?(例:〇曜日、〇時~〇時は出社必須)
☑一部在宅勤務は可能か?その場合、どの程度の頻度か?
☑どのような採用形態にすればよいのか?
等、どの程度の時間短縮や在宅勤務であれば円滑な業務遂行ができるか、イメージしておきましょう。
これらは求人票を作成するにあたっても明確にしておく必要がありますので、ママテラス事務局にお気軽にご相談ください。
優秀人材採用には「時短正社員」がお勧め
時短勤務の勤務条件の中で、特に採用形態についてご質問を頂くことが多いので、以下詳細ご説明致します。
ママテラスで募集可能な採用契約形態は、①正社員、②時短正社員(正式名称:短時間正社員)、③契約社員、④業務委託です。
それぞれの特徴について下記表にまとめておりますので、ご確認下さい。
この中で最も多い契約形態が時短正社員で、ママテラス成約の半数近くを占めています。
契約社員で入社した方も、その6割は入社後6か月以内に正社員・時短正社員に転換しています。
ママテラス登録者は、大企業等で総合職相当の業務に長年従事し、今後もその経験を活かした裁量のある仕事での時短勤務を求めています。このため、時短正社員での採用を希望する方が多く、即戦力人材の採用成功に求められる条件とも言えます。
時短正社員については、厚生労働者の「短時間正社員導入支援ナビ」に詳しい解説や導入支援マニュアルも掲載されていますので、ぜひご参照ください。
厚生労働省「短時間正社員導入支援ナビ」:https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/navi/
〔ママテラス成約者の採用形態〕
〔4つの採用契約の特徴〕
採用時のポイント2:即戦力採用を徹底する
フルタイムよりも短い時間の勤務となるため、ポテンシャル採用は控え、即戦力を採用する必要があります。限られた時間で成果創出をできる人材か、選考プロセスでしっかりと確認しましょう。
☑過去の実績:どのような定量的な成果を挙げてきたのか?また、その過程でどのような問題に対応してきたのか?
☑過去の業務経験:想定する業務を過去に経験しているか?経験していなくとも応用できるスキルや経験を持っているか?
☑自走力、周囲を巻き込む力:自分で調べて学び、推進して行く力はあるか?それと共に、抱え込まずに周囲の力もうまく借りられるか?
採用時のポイント3:勤務条件はよく話し合った上で、書面で取り交わす
オファーを出すにあたっては、双方の希望をすり合わせた上で、具体的な条件は書面で取り交わすことが必要です。
書面の交付による明示事項はフルタイム採用の場合と同様ですが、時短勤務者を採用する場合には雇用形態や契約期間、就業時間(在宅勤務の可否含め)について詳細に取り決めて明示しておくことをお勧めします。
① 入社年月日
-オファーの時点で定められない場合には(仮)とし、追って確定する場合もあります。
② 雇用形態、契約期間
-時短勤務だが、期間の定めがない社員(社保完備)として採用⇒短時間正社員
-期間の定めがある社員として採用⇒契約社員
有期の場合は契約期間満了後更新の可能性がある場合、その旨も出来る限り記載します。
※キャリアアップ助成金を活用するために、入社後6ヶ月間を契約社員とし、その後に短時間正社員に切り替える方法もあります。
-業務委託の場合、採用通知書ではなく、業務委受託契約書を締結。
③ 就業時間
オファー前に双方の希望をすり合わせて記載しますが、入社後も話し合いによって柔軟に決定する場合には話し合いのルールを記載。
-週5日未満の勤務の場合、曜日固定をするのか否か。
記載例:週4日(月・火・木・金)、週4日(勤務日は前々週までに相談のうえ決定)
-在宅勤務も可とする場合、その旨と頻度を記載。
記載例:週5日(週2日まで在宅勤務可)
-出社時と在宅勤務時で勤務時間が異なる場合には明記。
-休憩時間:労働時間により、与えなければならない休憩時間が定められています。(労働基準法第34条)
-6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分
-8時間を超える場合は、少なくとも1時間
※労働時間が6時間以内の場合にはどうするか決めて設定。
④ 賃金
-給与はフルタイムの同職種と同じ時間賃率で算定。
-昇給の可能性や時期について明記するのがお勧めです。
記載例:試用期間終了時、双方話し合いの上、給与を見直すものとする。
入社後3カ月間:●円、入社後4カ月目以降:●円
⑤ 各種保険の適用
〔加入が必須となる要件〕
-厚生年金保険・健康保険:1日または1週間の労働時間及び1ヶ月の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上である場合
-雇用保険:①1週間の所定労働時間が20時間以上で、②31日以上の雇用見込がある場合
-労災保険:全ての労働者が対象
⑥ その他:フルタイムと異なる条件がある場合には、明記する
オファーレターブランクシートフォーマットのDLはこちら
時短勤務者活躍のための3つの配慮
晴れて入社が決まって業務を開始したら、以下について配慮頂けるとよいかと思います。
イレギュラーなカタチで働いているからこそ、コミュニケーションをしっかりとることが肝要です。
①成果を創出できる環境を与える
ビジョンや方向性、裁量、期待役割、納期を明確に伝えましょう。
☑ビジョンや方向性の共有
組織として重要なことは全員に共有しましょう。「自分は知らなかった」という疎外感はモチベーション低下から退職に繋がりかねません。
☑具体的な期待役割、成果目標を提示し、裁量を与える
同じ職務を担うフルタイム正社員と比較して、「量」的な目標は労働時間に応じて減らし、「質」的な目標は変えないというのが原則的な考え方ですが、職務の内容や性質、本人の希望も踏まえ、設定する必要があります。
目標を提示したら、そのやり方については本人が自身のマネジメントで達成できるよう、裁量を与えて「任せる」ことで、時短勤務者は成果を出しやすくなります。
②勤務条件を社内及び顧客・取引先に周知する
フルタイム人材と同じ「質」の業務を担うだけに、事情を知らないと不要不急の時間外対応を発生させてしまう恐れがあります。時短勤務であっても緊急時の対応は必要ですが、一緒に働くメンバーには基本の勤務時間を周知すると共に、仕事の配分調整等も考慮してもらえるようにする声がけが不可欠です。顧客や取引先に対しては、メールの署名等に対応可能時間を明記しておくと安心です。
③契約内容の適時見直し、定期的な個人面談の実施
☑契約内容の適時見直し
入社時に綿密なすり合わせを行っても、実際に業務を始めてみると勤務実態が当初の契約内容と合わなくなってくることがあります。そのような場合には、変更内容を双方であらためてすり合わせ、契約を締結し直すことも必要です。
※当初想定していたよりも業務量が増え、勤務時間が契約を大幅に超えることが恒常的になると、時短勤務者は勤務継続が難しくなり、退職に至るケースもあります。
業務の効率化や担当範囲の変更、納期の変更等、勤務時間を守る策を講じても改善しない場合には、人員の増員についても検討する必要があります。
☑定期的な個人面談の実施
業務の話をする機会はあっても、「既に時短という配慮をしてもらっているのに申し訳ない」という思いから、勤務に無理や不満が生じていても相談の申し出を遠慮し、結局退職する事例があります。
四半期ごとや半期ごとに面談の場を設けることで、期待役割や目標設定、勤務に関する相談も建設的に行うことができます。定期面談は双方にとってメリットのある場ですので、継続的な実施をお勧め致します。
シード・アーリー、ミドルステージ企業にママテラスはお勧め!
ママテラスでは、シード・アーリー、ミドルステージの企業にこそ、時短勤務者の活用をお勧めしています。
企業の成長が進んでから新たな働き方を導入し定着させるには多大な労力が必要です。変更を要する規程が多岐にわたり、それまで一律の働き方をしてきた社員の理解を得て、多様な働き方で業務遂行する体制を整えるのは困難だからです。しかし、メンバーが少ないうちであれば、柔軟な働き方実現のための仕組みやツール導入が比較的進めやすいと思います。
そして、知名度や上場と言った材料はなくとも、「裁量を持って、柔軟な働き方ができる」というブランディングは採用競争力向上に繋がります。
メンバーが少ないスタートアップだからこそのメリットが多い時短正社員の採用を、是非ご検討ください。