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INTERVIEW
インタビュー
アイペット損害保険株式会社 及川瑠香さん「自分の仕事が会社の成長に直結するワクワク感が最大の魅力です」
はじめに
今回は、ペット向け損害保険のアイペット損害保険でお仕事されている及川瑠香さんにインタビューしました。
身内の病気をきっかけに、「やりたいことをやらないと後悔する」と政府系金融機関から現職に転じた及川さん。仕事について「凄く楽しい!」と話すご様子に、裁量があるスタートアップで活躍される方だと感じました。
そんな及川さんに、ご自身の転職活動や、現在の仕事の魅力についてお話し頂きました。
アイペット損害保険株式会社 社長室 及川瑠香氏
【及川瑠香氏 略歴】
慶應義塾大学経済学部卒業後、日本政策投資銀行入行。都市開発部や関西支店での法人営業を経て、財務部にて外債発行を担当。2016年5月アイペット入社、社長室配属。1歳男児のママ。
勤務形態:正社員(時短勤務8:30~16:00)
【アイペット損害保険株式会社 概要】
ミッション:ペットとの共生環境の向上とペット産業の健全な発展を促し、潤いのある豊かな社会を創る。
事業内容:ペット保険専門の損害保険
設立:2004年5月
社員数: 378名 (2018年7月1日時点)
企業URL: http://www.ipet-ins.com/
環境に関わる仕事を志望し、日本政策投資銀行に入行
―アイペット入社前のキャリアについて教えて下さい。新卒で日本政策投資銀行(以下、DBJ)に入行されましたが、どういった経緯で選ばれたのでしょうか?
大学で環境経済を学び、環境に関わる仕事がやりたいと考え、その軸で就職先を探しました。商社やメーカー等いろいろな「環境に関わる仕事」がありますが、検討する中でDBJが開発した世界初の環境金融というものを知りました。それに携わりたいと、入行したのです。
本店と関西支店で5年ほど法人営業などを経験した後、財務部に配属になりました。ずっと希望していた環境部にはなかなか行けませんでしたが、財務部に配属されて良かったことは、日本初の社会的責任投資債(SRI債)を企画・発行出来たことです。
この債券は、投資家から頂いたお金をDBJの環境金融に充てる債券です。海外の投資家は「自分が出したお金が何に使われたのかをちゃんと知りたい。社会的意義のある用途に使って欲しい」という考えがあり、海外投資家を開拓したかったDBJがそれに対応したのです。
DBJとしては環境金融を自行の資金調達に活かされるメニューへと進化させることができ、私個人としても、環境部に行っていたら出来なかった形で環境金融に貢献することが出来、大変やりがいのあるプロジェクトでした。
肉親の病気をきっかけに、「やりたいことをやる」と転職を決意
当時はSRI債だけでなく、全部で約3500億円分の調達を担当していました。債券の発行にあたっては、債券を企画し、海外投資家向けIRに回り、契約書を関係者と調整し、証券会社と条件交渉する――すべてを私と後輩の2名チームでこなしていました。債券の発行前には数カ月連続で1週間程の海外出張もありました。
とてもやりがいのある仕事でしたが、配属から1年半が過ぎて30歳を迎えた頃、体力の限界を感じるようになりました。そして、「この生活はいつまでも続けられない」と思いました。
そんな時、実家の家族が生死に関わる大病をしました。
このことで「人生はいつか終わる」と痛感し、「やりたいことは待っていないで、今、やらなくては」と強く思いました。そして、「次回異動で環境部に行けなかったら、もう辞めよう」と考えました。私の中で「(希望していた)環境部への異動をいつまで待つか」を決められてなかったのですが、SRI債を発行できた大きな満足感もあり「次回の異動」という期限を決めました。
そして、約2ヵ月後、他部署への異動打診があったタイミングで、退社を決意しました。
「やりたいこと」、「ワークライフバランス重視」、「尊敬できる」の3条件で転職先を探す
―転職活動について教えて下さい。どういう視点で転職先を選ばれたのですか?
「次回の異動」という期限を決めた頃から少しずつ転職エージェントに会い始めたのですが、転職先の選択基準は主に3つです。
1つ目は、「やりたいことをやれる」ということです。これが最大の転職動機でしたので。
2つ目は、体力の限界を見たので、「ワークライフバランスも保ちたい」と考えるようになりました。
そして、3つ目は尊敬できる人達がいることです。前職には尊敬できる方が多くいたので、次の職場でもそういう方達がいるといいと思いました。
転職活動を始めるにあたってやりたいことを改めて考えたところ、環境以外に、ペットに思い当たりました。実家でずっと犬を飼っていて、動物の虐待や殺処分などに問題意識を持っていました。
エージェントに相談すると『アイペット』を紹介されましたが、金融から離れたかったことと、自分で募集職種を調べたところ営業職しかなかったので、「ちょっと違うかな」と思っていました。
ところが、別のエージェントからも『アイペット』を紹介されました。「ここは職種が限定されますよね」と言うと、その方が「アイペットは株式会社ドリームインキュベータ(DI)が出資している会社で、経営幹部候補も募集している」と教えてくれ、DIやアイペットの経営陣について熱心に話してくれました。それで関心を持ち、「会ってみよう」と面接に至ったのです。
採用面接で人事部や経営幹部、社長にお会いしたのですが、優秀で、尊敬できる方達だと感じ、一緒に働くイメージがつきました。DIに在籍していた友人に相談したところ、「DIでも優秀な人たちがアイペットに出向・転籍している。事業も安定している。」と聞き、安心しました。そして、初回面接から2週間程で入社を決めました。
自らの転職活動について振り返る及川さん
大企業を離れることに自問自答も、「今のままでは後悔する」と決意
―当時は未上場だったスタートアップへの入社にあたり、不安だったり、ご家族から懸念を示されたりとかはありませんでした?前職とのギャップは大きかったと思います。
丸7年間大企業の看板の下で仕事をさせてもらい、尊敬できる方達もいたので、「本当にこの組織から離れていいのか」と何度も自問自答しました。ですが、やはり「今のままでは、死ぬ時に絶対後悔する」という確信がありましたし、主人も諸手を挙げて賛成してくれ、迷いがなくなりました。
葛藤はありましたが、退職を決めて、お取引先に挨拶回りに行ったら、皆に「晴れ晴れした顔していますね」と言われました。よい決断をしたと思いましたし、今でも良かったと思っています。
考えを理解してくれるエージェントの活用がオススメ
―ご自身の転職活動を振り返って、お勧めの活動や、逆に「こういう活動はあまり勧めません」といったものはありますか?
私がアイペットに入社したのは、あるエージェントがアイペットについて丁寧に説明をしてくれたことがきっかけでした。私が調べた限りでは現職の募集は出てこなかったのですが、恐らく公開されていない募集案件もあるのだと思います。そこは自分ではわからないので、気になる企業の募集ポジションはエージェントに確認した方がいいと思います。
「意味がなかった」と思っているのは、ヘッドハンティングメールがくるタイプのサイトへの登録です。経験だけ見て、即戦力として案件が沢山送られてくるのですが、業種を変えたい人には役に立たない気がします。私はほとんどメールを開くこともしませんでした。
ですので、「何をしたくて、どういう思いで転職したい」をちゃんと理解してくれ、親身になっていろいろと紹介してくれるエージェントが見つかるまで探し、タッグを組んで活動することが大事だと思います。
転職活動では、自分の優先事項を明確にし、それが実現できる場か確認する
また、入社前後でギャップがあるとお互いに不幸だと思います。転職後すぐに再転職する方に話を聞くと、「入社前に聞いていたことと違った」といったことがあります。
転職活動をする際には、ご自身の優先順位を明確にし、「ここは譲れないし、こういうのは嫌だ」ということは示した方がよいと思います。自分にとって譲れないこと、私の場合はワークライフバランスが保てるとか、好きなことをやれるといったことでしたが、そこについては詳しく話を聞くべきだと思います。
例えば、会社が将来的に展開を検討している事業に携わりたいという場合、その「将来」とは1年以内なのか、3年以内なのか、検討チームが立ち上がっている状態なのか、白紙状態なのか。状況を確認した方がよいと思います。
門外漢だったシステム開発のプロジェクトマネージャーを担う
入社直前に妊娠が判り、「物凄く焦った」という及川さん。入社から産・育休に入るまでの6カ月間は時差出勤等も活用して、アイペットでの仕事に取り組みました。そして、1年程の休職を経て、2017年11月から時短勤務での仕事復帰を果たしています。
―現在はどのようなお仕事を担当されているのですか?
現在は、弊社の保険代理店であるペットショップ向けのシステム開発に携わっています。
ペット保険は主に代理店を通じて販売しており、ペットショップが代理店となっています。ペットショップで子犬・子猫が購入される際、併せて当社の保険を紹介して頂きます。
ペットショップでの契約書はこれまで全て手書きで作成していて負担が大きいため、契約業務を支援するシステムを提供しています。ペット保険加入時の手続きも兼ねられるものですが、弊社ではそうして集積した情報を販売促進やユーザー分析といったマーケティングに活用しています。
具体的には、開発したシステムをチェックしたり、代理店営業の担当部署にシステムの研修をしたり、営業の客先同行をしてフィードバックを貰って課題を整理し、開発部隊と要件定義をしたりしています。
私は元々システムについては全くの門外漢でしたが、いつの間にかプロジェクトマネージャーのような役割で、全体を管理しています。
そのほか、マーケティング施策、譲渡団体向け施策、リアルイベント企画、出資検討など、自分で立ち上げたプロジェクトも含め、さまざまな案件に取り組んでいます。
及川さんのデスク。仕切りのないワークスペースで周囲との相談もしやすい。
自分の仕事が会社の成長に直結する実感、ワクワク感が最大の魅力
―実際にアイペットで働いてみて、その魅力や良さはどんなところだと思いますか?
未経験の仕事にもチャレンジさせてくれる柔軟性には驚きますし、様々な経験が出来るので、とても良かったと思っています。自分の強みに合わせて柔軟に仕事を任されますし、自分でプロジェクトを立ち上げることも出来ます。
また、課題に対して「どうやったら出来るか?」という姿勢でどんどん改善していくところは前向きです。RPA等の新しいツールの採り入れも、「やってみよう」と検討してから導入までがすごく早いです。そういう身軽さ、スピード感には驚きます。
そして、マーケットが拡大していて新しい事業を展開していく、そのワクワク感が一番の魅力だと感じています。今ある施策をより良いものに改善したり、横展開したり、新しい収益源となる施策を提案したり、自分の仕事が会社の成長そのものに直結する実感があります。
大企業ではそれまで築いた歴史があり、お客さんも企業と付き合いたいのであって、私はそれを繋ぐ役割という感じが多少なりともありました。
しかし、スタートアップでは自分自身のトークや提案力ですべてが決まります。アイペットはペット業界では知られた存在ですが、世の中一般に広く知られた企業とはまだ言えません。企業等を初めて訪問する際にどれだれのものを得られるかは自分次第。それは会社の看板ではなく、私自身で勝負している緊張感があります。チャレンジではあるのですが、私はそこに面白さを感じています。
業務のリスト化やスケジュール化、共有化で「効率があがった」
―働き方についてお伺いしたいのですが、現在の8:30~16:00という勤務時間はいかがですか?定時は9:00~18:00ということですが、定時前の業務スタートは珍しいですね。
はい、凄く有難いです。育休からの復帰にあたり無認可の保育園が見つかったものの、場所が自宅から遠く、またゼロ歳児の保育時間も限りがあり、復帰できても15時半には会社を出ないといけない状況でした。朝は早く子供を送り出すことになるので、ダメもとで会社に8時半始業を相談したところ、すぐにOKをもらえました。そういう柔軟さもスタートアップならではだと思います。
子供が1歳を超えてから終業時刻を16時に延長しました。
―時短勤務でありながら、プロジェクト・マネジメント等も行うという多忙なご状況かと思いますが、何か工夫されていることはありますか?
工夫と言えるかわかりませんが、私は時短勤務になったことで、仕事の効率が上がったと感じています。ママテラスのサイトにもそういったことが書いてあったと思いますが、同感です。
16時退社ですし、子供の体調が良くない時等に「いつ保育園から連絡があるかわからない」と思うので、やるべきことを全てTodoリストにした上で、集中して取り組んでいます。バタバタしている中で色々と相談されたり依頼されることも多いので、忘れないようにすぐにスケジューラーに登録して、抜け漏れのないようにしています。そして、「明日でOK」というものも、明日どうなるかわからないので、出来る限り前倒しで取り組みます。
また、資料やナレッジ等は共有フォルダに入れて、自分だけのものにしない。突然の不在でも周囲が対応できるよう、常に共有化するようにしています。パソコンのデスクトップには何も置いていません。
このようにする内に、自然と効率がアップしていると感じます。
実収入ダウンも、「ワークライフバランス上のメリットが大きいです」
―大企業からスタートアップに転職すると収入ダウンに戸惑う方が多いようですが、及川さんの場合はいかがでしたか?
前職時の収入にはかなり残業代が含まれていたので、基本給で考えるとむしろアップしました。現在は時短勤務もしているので実収入としては下がりましたが、給与へのこだわりはあまりなく、やりたいことが出来ること、ワークライフバランスが保てることを重視しているので、そちらでのメリットが自分としては大きいです。
―素敵なお話、ありがとうございました。
edited by 河西あすか
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