INTERVIEW

インタビュー

株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー西川直子さん「変化のスピードとチャレンジを楽しめるのがスタートアップの醍醐味」

はじめに

ジャパン・メディカル・カンパニー社は、医療用精密複製立体モデル「KEZLEX」や赤ちゃんの頭のかたちの矯正ヘルメット「Aimet」など、医療領域で最先端の3D技術を用いた製品開発を行っているスタートアップです。

今回は営業部門統括 西川直子さんにお話を伺いました。コールセンターのエキスパートとして入社され、現在では社長も「番頭」と認める幅広い活躍をされています。出産直後に開始された転職活動や、転職の決め手、そしてスタートアップで働く面白さをじっくりと伺いました。

株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー 西川直子さん

【略歴】
株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー 営業統括 西川直子さん
早稲田大学文学部卒業後、株式会社バイク王&カンパニーに入社。電話からWebでの対応に移る過渡期のコールセンターにてオペレーターやシステム・機器導入、オペレーション構築等に従事。その後マネージャーとして地方拠点の新規開設や研修部門の立上げ、CRM施策立案に携わりながら、修士号の取得や2度の上場も経験。個人事業主や医療系スタートアップ勤務を経て、2020年12月にママテラス経由でジャパン・メディカル・カンパニーにコールセンター立ち上げメンバーとして入社、現在は営業部門を統括されています。

【株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー概要】
MISSION:「世界にまだない、選択肢をつくる。」
事業分野:ヘルスケア
事業内容:医療機器の開発・製造・販売
設立 2018年5月
従業員数:43名 2022/7現在 
企業URL:https://japanmedicalcompany.co.jp//

趣味のバイクを扱うベンチャーのコールセンターでキャリアをスタート

‐まず初めに、西川さんの現職に至るまでのキャリアについてお聞かせいただけますか?

新卒時の就職先は「アイケイコーポレーション(現在の社名=バイク王&カンパニー。以下バイク王)」というベンチャー企業を選びました。当時、私の一番の趣味がバイクだったというのが理由です。正直、1年ほどで大学院に進学するつもりだったこともあり、せっかくなら好きなことを仕事にしようと考えました。

私自身は経営に関わる部門で働きたいという希望がありましたが、「現場を知らない人間に経営はできない」という方針で最初の配属はコールセンターとなりました。
初めは営業成績も思うように伸びずチームの足を引っ張ってしまい、苦しい思いをしましたが、何とかここで結果を出そうと必死に努力を重ね、半年後には営業成績トップを達成しました。

入社時のコールセンターは机の上にタウンページと電話機、紙とペンが置いてあるだけで、とにかく電話がかかってきたら聞いてメモしてアポイントを取るというスタイルでしたが、程なくしてIT化の大きな波が入って来ました。「PCや顧客管理の仕組みを導入し、業務の効率化をすべきだ」という私たちチームの提案が受け入れられ、秋田での拠点立上げやCRM(顧客管理)の施策立案等に携わりました。

並行して大学院にも通い、20代は深夜や土日も仕事か勉強という、振り返ってみてもハードな生活を送っていたなと思います。

「世の中のママさん達の助けになりたい」とママテラスに登録

バイク王では、14年間で合計7回も退職願を出しているのですが、そのたびに社長をはじめとして本気で引き止めてくれる人がいたことも大きな思い出です。
本当に熱意と温かさのある人達に見守られて育ててもらったのだと、今でも感謝しています。

‐最終的には社内結婚を機に退職されたのですね。

はい、退職後は個人事業主としてコールセンター関連のお仕事を続けつつ、旅行など自由な生活をしばらく満喫した後に出産をしました。
24時間365日の職場で寝食を忘れて働く経験をして「これ以上厳しいものはない」と思っていたのですが、出産と母親業を通じその考えを覆されました。世の中のママさん達に対する目線が一転し、こういう方々の力になりたいと漠然と考えるようになりました。

出産後、「自分はこんなにうまくできない人間だったのか」とひどく落ち込んでしまったのですが、それを助けて下さったのが助産師の先生でした。先生も助産院を起業したばかりで、試行錯誤しながら頑張っていらっしゃる姿に感化されたことと、大変なママさん達の助けになる仕事に関わりたいと思ったことをきっかけに、再び仕事を始めたいと考えるようになりました。

初めの転職先は女性経営者の医療系スタートアップでした。生後6か月の子供を保育園に預け、医師向け講習会のプロジェクトリーダーとしてフルタイムで社会復帰しました。

しかし、この会社は短期間で退職することになります。講習会は医師の非番にあわせて土日に行うことが多く、土日の子供の預け先が見つからないという問題が発生しました。家族の手を借りることも難しい状況でしたので、プロジェクトが一区切りをしたところで退職し、改めて時短で求職することにしました。

次の転職先も迷いなくスタートアップと決めていました。スタートアップ、時短、という切り口でリサーチする中でママテラスに登録しました。

「患者様からの電話以上に大切なことって何?」の一言で入社を決断

‐ママテラスに登録した際の使い勝手等はいかがでしたか?

他のサイトと比較して、先進的で魅力のある会社がたくさん登録されていると感じました。掲載されている情報はそこまで具体的ではなかったので、働くにあたってのディテールは少し想像しにくかったです。ただスタートアップ転職ですから、これも「素材は渡すからあとは自分で聞きに行けというメッセージかもしれない」と捉え、カジュアル面談などの機会を頂いて自分でしっかり情報収集をしようと考えました。

‐ジャパン・メディカル・カンパニー社からスカウトメッセージが来たことが、今回の転職に繋がりました。

なぜ私にお声掛けいただいたのかと不思議に思いつつ、嬉しかったのを覚えています。1回目にご連絡いただいたときは退職時期がまだ先だったこともありお返事を控えていたのですが、2回目の連絡で「興味を持っていただけたなら」とひとまず会ってみることにしました。結局、そのまま他の会社を受けることもなく入社の運びとなりました。

‐決め手はどういうところでしたか?

一つは「世の中のママさん達の力になれる」仕事だったということです。バイク王では日本のバイクライフを豊かにするために営業部の立場から真剣に取り組んでいましたが、より社会にダイレクトに貢献できる仕事がしたいと考えたのです。

もう一つは、代表の大野との面接時に「この人のところでコールセンターを作りたい」と思ったことが決め手です。当時の弊社は、患者様からのお電話を全て大野が受けている状況でした。以前は上司に電話対応をさせないことがコールセンターのミッションだったため大変驚き、思わず「なぜ、社長がそんなことを?」と聞いてしまったのですが、大野の反応は「それ以上に大事なことって何ですか?」というものでした。この一言は、結果的に入社の大きな決定打となった気がします。

バイク王は「コールセンターこそが価値の源泉」と考える会社で、私自身も高いモチベーションを持って十数年頑張ってきたという自負がありました。しかし一般的には、コールセンターをあまり重視せず「コストばかりかかる会社の厄介者」的な位置づけをしている会社が多いのが現実です。業界の集まりでも、せっかくお客様の声を聞いても社内で活用されていないケースが多々あることを耳にしていました。

そんな中、大野の言葉からは「お客様の声を真剣に聞き、企業価値に繋げていきたい」という本気の思いが伝わって来ました。この会社にコールセンターを導入すれば、お客様の声を有効に活用できるはずだと感じると同時に、この会社の発展のために私の十数年のコールセンター経験を役立てたいと考え、入社を決意しました。

乳児の頭蓋変形矯正のためのヘルメット「Aimet」

代表の電話対応を2回聞き、コールセンター構築をスタート

‐入社後、コールセンターをどのように立ち上げられたのですか?

入社初日に大野とお客様の通話を2本聞かせてもらったのが実質的な引継です。それでやるべきことは見えたので、あとはアルバイトの女性と2人でコールセンターを作っていくことになりました。かなり自由にやらせていただいています。

最初の2~3か月は、提携先病院の整理や顧客情報のデータベース化の仕組みづくり、お客様対応のスクリプトづくりなど、いわゆるコールセンターの基礎的な部分の構築に充てました。並行してコールセンターとして電話応対は実施していたのですが、この期間だけでも提携先病院にご紹介する患者様の数字がかなり上がって来たことを受け、3か月後にはメンバーを拡充してもらいました。

入社から1年半が経過した現在は6名体制になり、このとき採用したメンバーが、今も誰一人欠けることなく活躍してくれています。
チームリーダーも、もう1名増えフルリモートの時短社員です。

現在は営業統括として「経営に関わりたい」という新卒時の夢を実現

‐コールセンターを構築される中で、特に大変だったことや印象深かったことなどはありますか?

コールセンター自体はかなり理想どおりにできたと思っています。自分の専門分野でもありましたし、何よりも良いメンバーに恵まれたのが一番の成功要因でした。大野が「ママさん向けの製品を作っている会社なのだから」とママに限らず誰もが働きやすい環境を用意してくれたことが大きいです。

大変だったのはコールセンターではなく、営業部の統括という立場になってからです。退職者の業務などをカバーしているうちに、コールセンター以外の業務も担当する流れになりました。その後コールセンターが営業部内の1チームとして組み込まれ、さらにクッションの製造チーム、データを作るデータサービスチーム、医療機関を訪問するカスタマーサクセスチームの計4チームの管理者を引き受けることになりました。

‐代表の大野さんは、西川さんのお立場を「番頭」と仰っていました。

いつの間にかこのような状態になっていましたが、これこそがスタートアップの醍醐味かもしれません。今は経営者に一番近い立場で仕事をさせていただいていますが、新卒時に抱いていた「経営に関わりたい」という希望にようやく近付くことができたわけで、人生こんなこともあるのだなと感じています。

オフィスは隅田川近くにある。設立から4年でメンバーは40名を超えた

柔軟な勤務対応など常に家族を優先できる環境がある

‐勤務時間は9時~16時半という契約で入社されましたが、現在はいかがですか?

時短で続けることもできたのですが、現在はフルタイムに近い状態で働いています。夫や実家のサポートが得られる環境になり時短にこだわらず働ける状況になったためですが、常に「家族優先で」と言ってもらっています。他の時短勤務の方は、皆しっかり16時で帰っています。

‐リモートなど、柔軟に働くという観点ではいかがですか?

コールセンター時代はかなりリモートを取り入れていましたし、 現在も子供の体調が良くないときなどは遠慮なくリモートを活用させてもらっています。とても柔軟に対応してくれるので、ありがたいです。

転職活動は一緒に働く人と実際に会うことが大切

‐転職されてからの1年半を振り返り、西川さんは「この会社に入社して良かった」とお考えでしょうか。また、その理由も伺えますか?

お陰様で、心の底からこの会社で良かったと満足しています。
満足できる会社選びができたのは、やはり初めに代表の大野としっかり話せたことが大きいと思います。大野以外のメンバーとも何人か話をさせてもらいましたが、皆とても温かく尊敬できる人達で、ぜひ一緒に働きたいという気持ちになりました。自らの経験を通じ、転職先を決めるときは、まずは一緒に働く人に会うことが大切だと感じています。スタートアップでは代表者である社長の人柄や考え方も大きく影響しますので、社長とも必ず会っておくべきだと思います。

スタートアップの面白さは変化とチャレンジ

‐西川さんは新卒以来ずっとスタートアップで働いていらっしゃいますが、改めてスタートアップの面白さとはどこにあるとお考えですか?

変化とチャレンジではないでしょうか。大手と比べると変化のスピードが早く、その変化についていこうとすれば自然に自分も成長できることと、チャレンジがしやすい環境であることが面白いところだと考えています。

バイク王もスタートアップでしたが、上場してどんどん規模が大きくなっていく過程を経験しました。何かやりたいことができたとき、初めは立ち話でも上司に熱く語れば通っていたものが、社内の根回しに稟議、外部承認など、徐々に意思決定のステップが増えて行きました。

まだ何も固まっていない小さな会社というのはむちゃくちゃな部分も多いけれど、逆にこれをうまく利用すればスピード感を持って様々なチャレンジができる環境でもあります。やはりスタートアップの面白さはそこではないでしょうか。

私の中で、人生に変化を付けるというのが必要不可欠だと感じています。「違う世界で新しいものを見ることで人間は成長できる」という思いがあり、違うステージで新たなチャレンジをすることはすごく楽しいです。

‐本日は素敵なお話をありがとうございました。

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