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コラム

スタートアップ×時短転職の疑問にお答えします!

ママテラスでは、時短勤務等の柔軟な働き方を希望するキャリア人材と、社会的課題解決に取り組むスタートアップ企業をマッチングするダイレクトリクルーティングサービスを行っています。

ママテラスご登録者の多くは大企業等に勤務されており、スタートアップ企業での就業経験がないため、「スタートアップ企業で働くのは何となく不安」といった声や、そこでの働き方についてのご質問を頂きます。

そこで今回のコラムでは、ご登録者の方からご質問を頂くことが多いスタートアップ企業の経営状況やそこでの働き方への疑問にお答えしたいと思います。

「スタートアップ企業」とは?

最近ではニュースや新聞紙面でも様々な「スタートアップ企業」を見かけますが、「スタートアップ企業」とは何でしょうか?

「スタートアップ」を直訳すると「開始」「起動」という意味で、そこからするとスタートアップ企業とは創業からあまり期間が経っていない企業ということになりますが、「創業後〇年」と決まっているわけではありません。

ママテラスが考える「スタートアップ企業」の定義

ママテラスでは、「未解決・未開発領域で新しい事業を作り出し、収益化に挑んでいる」企業と定義しています。
具体的には、以下の2つが成り立っているかを登録時に先方経営者との面談等も含めて確認しています。

【要件1:未解決の社会的課題解決や革新的開発にチャレンジにしている】
「未解決の社会的課題」とは決してニッチなものではなく、その解決が多くの人にとって役に立つものを指しています。

脱原子力や持続可能な社会が求められる中で、「枯渇しない」「どこにでも存在する」「二酸化炭素排出しない」再生可能エネルギーの拡大に取り組むスタートアップはその一例と言えます。

【要件2:ビジネスで実行している】
こういった取組みをNPOではなく、継続して利益を出す仕組みにしようとしていることももう1つの要件だと考えています。

大企業との比較でみるスタートアップ企業の特徴

ママテラス登録者には大企業経験者が多いので、大企業と比較しながらスタートアップ企業の特徴について述べたいと思います。

わかりやすいところではその組織規模の違いですが、東証一部上場企業の社員数平均約1500名に対して、スタートアップ企業の多くは10~150名程度です。
つまり、スタートアップ企業は大企業の部署、グループ程の小さな組織です。

そして、両者の最大の違いはその収益状況です。大企業が既に市場化された領域で一定の収益を上げているのに対して、スタートアップ企業はその定義通り「未開発の最先端領域」について収益化に取り組んでいる最中です。

赤字であったり、収益を上回る成長投資が必要な状況のため、多くのスタートアップがベンチャーキャピタル等からの投資を受けています。この投資は当事者間で行われるので、市場公開している大企業とは異なり、財務状況等が広く公開されることはありません。

このようなスタートアップ企業の定義や特徴を踏まえた上で、具体的な疑問にお答えしていきたいと思います。

疑問1「経営の安定性が心配…」

この質問はスタートアップへの転職が初めてとなる方には必ずと言っていいほど訊かれる質問です。

結論から言うと、「安定」とは「変化なく落ち着いている状態」を意味しますが、収益化途上のスタートアップ企業がそこで落ち着いては困るので、この状況にはあてはまりません。よって、「安定性」という点では、大企業には及びません。

既に市場化された事業を確立した手法で役割分担して運営し、多角的にリスク排除しつつ一定収益を得る大企業は、例えれば大型船のようです。収益を守るためリスクにも備えており、安定的な運営を行っています。

それに対して、少数精鋭のシンプルな組織で新しい事業の立ち上げに挑むスタートアップは機動性に優れる小型船に例えられるでしょう。転覆のリスクが一定あるので、泳げない方には勧められない選択肢ですが、小型船の乗組員にはその運行に関する大きな裁量があり、新たな挑戦の中で経験やスキルを身に付けることができます。

スタートアップ企業に求めるべきは「成長性」

スタートアップ企業への参画にあたっては「安定性」ではなく、「成長性」を見極めるべきだと思います。その事業が成長すれば、組織が存続し、収益力も高まり、スタッフの待遇向上にも繋がるからです。

スタートアップの成長性を見極めるには3つの視点があります。

1つ目の視点は、「事業の成長可能性」です。
☑参入している市場は大きいか?
☑競合との技術や仕組み等による差別化できているか?
☑ビジネスモデルとして成り立っているか?(誰から売上を得るか?)
といった視点でその事業の成長可能性を考えてみましょう。

たまに「取組みとしてはいいことだが、収入源と考えている主体がお金を払うかなぁ?」と感じたり、どこから収益を得ているのかわかりにくいスタートアップ企業があります。サービスを調べたり、話を伺ってみるとビジネスモデル等への理解が深まるので、是非こうした視点での整理をオススメ致します。

2つ目の視点は、「資金調達力」です。
コロナ禍等の急速な市況変化に強いという意味で、資金調達力は成長を支える大きな要素です。そして、スタートアップ企業の資金は、ベンチャーキャピタルや事業会社による投資に支えられています。

☑どの程度の金額の投資を、どんな投資家から得ているか?
は是非確認しましょう。
一定金額の資金調達をしているということは、物理的に資金があるということですが、それ以上に「投資家が成長性を認めている」という点でも確認すべき項目だと考えます。

企業ステージや事業によって必要な資金は大きく異なり、金額が大きければよいとは一概には言えません。それでも、投資金額の大きさは、投資家から見た「成長性」への評価だと言えるからです。

そして、更に言うなら「どんな投資家が」という部分も大事な要素です。
本業とのシナジーを考えて投資している事業会社に対して、ファンドから投資をしているベンチャーキャピタルの方が投資先企業の成長性をよりシビアに見ています。小さい規模ながらベンチャーキャピタルから資金調達している場合、その成長可能性が評価されていると考えられます。

最後に、3つめの視点は「経営者」です。
どんなに市場性がある事業であっても、大きな社会・市況の変化によって危機は生じます。そして、同じようなビジネスモデルの企業でも、経営者によって危機対応は大きく異なります。

スタートアップ経営者=自分が乗り込む小型船の船長ですので、
☑目指したことをやり遂げようとする意志の強さはあるか?
☑外部の意見等を聞き、リーズナブルな判断ができるか?
☑スタッフに対して常に正しく状況を伝えてくれるか?
といった視点で見極めることが大事です。

その見極めにあたっては、記事等の情報もありますが、面談・面談等で実際に会って話すことを何よりオススメ致します。

疑問2「忙しそうなので、時短勤務で対応できるか不安…」

こちらも大企業からスタートアップ企業への転職を検討する際によく訊かれる質問です。
スタートアップは少人数で担当業務範囲が広い。よって、仕事が多く、ハード。という印象があるようです。

確かにスタートアップ企業は全般的にハードワーク傾向があるとは思いますが、私自身実際にスタートアップ企業で時短勤務をしており、時短勤務でも十分に対応できると考えています。
それはスタートアップで求められているのは成果であり、仕事量は減らせるからです。

スタートアップ企業で求められるのは「成果」

なぜそのように言い切れるのか?それはスタートアップと大企業では仕事に求められることが大きく異なるからです。

収益化し、成功パターンが確立している大企業ではそのプロセス遵守が重視されます。また、役割の細分化とピラミッド型組織により、組織内コミュニケーションが重要である一方、各自の仕事と成果との関連が見えづらいという特徴があります。
つまり大企業での仕事は、確立したプロセスを実施することであり、前後工程や上下とコミュニケーションを取っていくことだと言えます。

他方、スタートアップ企業では、収益化に挑んでいる途中で、その業務プロセスも未確立です。成果に繋がる方法を自ら考え、実践し、結果を確認し、更に改良するというPDCAを高速で回して成果を出すことが求められます。また、少人数組織のため、業務範囲が広く、その裁量が大きいことも特徴です。
よって、スタートアップでの仕事はプロセス遵守よりも成果創出が求められます。更に、少数でシンプルな組織ゆえにその貢献度もわかりやすいのです。

成果と勤務時間を両立させる方法を自ら考える

「時短勤務は、給与が安くて、仕事量は変わらない」、「時短勤務なのに、配慮してくれない」。これらは巷で時短勤務をしている方の愚痴としてよく耳にするものです。

私はこの愚痴を聞くと、中島みゆきさんの「宙船」という歌を思い出します。

その船を漕いでゆけ おまえの手で漕いでゆけ
おまえが消えて喜ぶ者に おまえのオールをまかせるな


自らの給与や仕事、時間という大事なものを、(「消えて喜ぶ者」ではないでしょうが、)他の人に委ねてしまってはいけないとつくづく思うのです。

「どうしてスタートアップ企業で時短勤務の方を採用するのですか?」という質問もよく頂きます。大企業のように女性役員比率の目標値等が理由ではなく、その答えは「スタートアップ企業経営者が求めているのは成果。成果創出できるなら、働き方に拘らないから」です。

スタートアップ企業に時短勤務で入社する場合、「成果」と「勤務時間」を経営者と約束することになります。そして、「成果」と「勤務時間」を両立する方策を考えるのは自分自身です。
自ら選んだ「成果創出するキャリア」と「時短勤務」を決して手離したり、諦めたりすることなく、両立する方策を考え、リソースが足りないのであれば経営者に相談しながら、進める必要があります。

充分に工夫をせず、与えられた仕事量を嘆くのはナンセンスです。
成果と時間を両立できるやり方を考え、成果をあげて、給与も上げるというのがサクセスパターンだと思います。

成果≠仕事量。スタートアップで仕事量や投入時間が減らせる理由

「成果と時間を両立できるやり方を考えるなんて難しすぎる…」と思う方もいらっしゃるかも知れません。しかし、スタートアップでの仕事の進め方には、その仕事量や投入時間を減らせるポイントがあります。

1.スピード重視で、社内検討プロセスが少ない

大企業で1つの商品やサービスを開発して上市するには、複数の関与者を巻き込むための多くの社内プロセスが必要です。私自身、大手食品メーカーで商品企画の仕事をしていたことがありますが、その時は「商品作っているんだか、資料作っているんだか」と突っ込みたくなるほど社内説明資料作成に時間を費やしていました。

現在勤めるスタートアップ企業で多くの企画とその実行を担っていますが、プレゼン資料を作成することは皆無です。数値や企画案、考えられるメリット・デメリット、スケジュールを上司となるCEOに確認し、実施となります。社内でぐちゃぐちゃ検討するよりは、早く市場に出し、ユーザーからフィードバックをもらった方がよいという考えがベースにあります。

このようにスタートアップ企業では社内検討プロセスが圧倒的に少なく、それに付随する仕事量が大幅に少なくてすみます。

2.効率的な働き方への意識が高く、サポートする仕組みがある

収益化途上のスタートアップにとって人件費は大きなものですし、少人数組織である点からも効率的な働き方は重視されています。
その為の手段として在宅勤務やフレックス勤務等を活用している企業は多く、コロナをきっかけに基本在宅勤務とし、オフィスを縮小した企業も少なくありません。
また、人事や会計のクラウド型業務管理ソフトや電子契約の導入等も積極的に利用しており、スタッフの仕事量や投入時間を減らす取組みを行っています。

疑問3「20代社員が多いイメージ。馴染めるか不安…」

スタートアップ企業には若い経営者やスタッフが多いイメージがあるようで、年代の違い等の不安を口にする方もいらっしゃいます。

ママテラス登録企業にも20代CEOはいらっしゃいますが、実際には30~40代経営者が多い状況です。

ママテラス経由スタートアップ転職者の9割は30代後半以降

20代が多いイメージがあるかも知れませんが、実際にママテラス経由でスタートアップ企業に入社された方の9割以上が30代後半以降となっています。

「時短勤務で、即戦力として充分な成果が出せる人材」となると、以下の①~③のようなキャリア経験者が必要となります。

①担当者として一人で業務遂行する経験(3年程度)
②その後、リーダー的な立場で、より広い視座や大きな責任の中で成果を出す経験(3~5年程度)
③異動や転職を経て、異なる環境の中でもパフォーマンスを出した経験(3~5年程度)

大学卒業後の22歳からキャリアをスタートしたとして、上記のようなキャリア経験+途中で1-2年程度の育児休暇を取得すれば30代半ばとなるため、必然的にこの年代以降の方が採用されやすいのです。

重要な採用基準は、年齢ではなく、時短でも十分な成果が出せる一定のキャリア経験なのです。

※詳しくは、ママテラス転職コラム『スタートアップへの時短勤務転職で40代が求められるワケ~時短転職成功者データからみるママテラス転職』をご覧下さい。
https://mamater.as/column/jitandata/

重要!組織の価値観や考え方を受容できるかを確認する

スタートアップは大企業に比べて小さな組織です。もし周囲と合わないといったことがあっても環境を変えることは難しくなります。ですので、一緒に働く方の価値観や考え方を受容できるかは大切なポイントになると思います。

選考段階には経営者や上司との面接があり、そこで経営者の価値観や考え方を把握することは出来ます。しかし、それだけでは、実際に働く環境や仲間についての情報が不十分で、入社後に齟齬が生じる恐れがあります。

そこで、ママテラスでは最終的な意思決定をする前に以下のステップを経ることをオススメしています。

1.一緒に働く方との面談
入社後の自分がイメージできるよう自分と近い状況(例:時短勤務、業務が近い等)で働いている方との面談の設定をお願いすることをオススメ致します。

2.半日~5日程度のインターン
入社を決定する前の最終段階として、半日~5日程度の就業体験をすることです。面接だけでは捉えきれない職場の雰囲気や、経営者・メンバーとの相性、求められる役割を具体的に確認する機会となり、ミスマッチを防ぐ意味では企業と個人、双方にメリットの多い手法です。

いずれも選考段階ではないので企業側から提案されることはあまりなく、自ら提案する必要があります。「選考中にお願いしづらい…」と感じる方もいらっしゃるかも知れませんが、入社後に後悔することを考えたらここで万全を期すべきだと思います。

最後に:オススメの疑問解決方法

今回はスタートアップ×時短転職についてよく訊かれる質問に回答させて頂きましたが、スタートアップ×時短転職について真剣に考えるほど様々な疑問が出てくるかと思います。

それは、
・スタートアップ企業の経営情報が非公開であること
・スタートアップ×時短転職の経験者が周囲に少ないこと
が背景にあるからかと思います。

真剣に考える程に湧いてくる疑問をどのように解決すればよいでしょうか?
私が大事だと思うのは、以下の2点です。

1.Fact(事実)を把握すること
事実確認の最良の手段は企業に訊くことです。スタートアップ企業では開示情報が限られているため、多くの企業がカジュアル面談(応募意向を問わない面談。互いのニーズや希望をすり合わせる場)に対応しています。わからなくて悩むより、事実把握のために動くことが早道です。

2.自らの価値観等に照らして判断する
把握した事実をご自身の価値観等に照らして判断することが大事です。ある方にはNGなことも、ある方にとっては取るに足らないことだったりします。多くの方によいことでも、あなたの価値観とは合わないことならば選択に値しません。
転職で重視することに照らすこと、そして、自らのオールを他者に委ねず、重視する事柄を諦めないことが後悔しない転職には大事だと考えます。

選考が進む過程で、ご不安・ご懸念があれば、ママテラス事務局もサポート致します。マイページにある「ママテラスに相談する」ボタンからご相談ください。

written by 河西あすか

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